日本に好奇心!ついでに登山。この国の歴史・文化・自然をもっと知りたい!

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

庄内米歴史資料館(山形):庄内で知る誇るべきコメ文化

カテゴリー見出し博物館

庄内米資料館正面

■概要
米作りの歴史と文化、博物館の原型である山居倉庫の歴史を紹介するJA全農山形運営の博物館。
江戸時代、東北で随一の産地だった庄内地方と最上川水運で結ばれた山形平野の米はここ酒田に集められ、廻船で全国に運ばれた。明治になってこの地に集散拠点として建設されたのが今も使われている山居(さんきょ)倉庫で、博物館はその一部を利用している。
なお現在は大部分がトラック輸送となり、船で運び出す米はわずかになった。

名称庄内米歴史資料館 施設名は山居(さんきょ)倉庫
ジャンル歴史文化系 山形県庄内地方の米作り文化
所在地山形県酒田市山居町1-1-8
開館時間9:00~17:00(12~2月は16:30まで)入館は30分前まで
休館日年末年始を除き無休
料金大人300円
交通機関・JR酒田駅からバス10分「山居町(さんきょまち)」下車1分
・庄内空港からバス20分「山居町」下車3分
マイカー山形自動車道酒田ICから酒田市街地方面へ10分
駐車場狭く台数わずか
その他の基点JR酒田駅から南へ2km徒歩30分
問合わせ0234-23-7470
http://shonai.zennoh-yamagata.or.jp/gallery/index.html

◇地名
山居:さんきょ 月山:がっさん 鳥海山:ちょうかいさん
三川町:みかわまち 

■内容詳細

・館内広さは中程度。公立の大型博物館のようなものではないが、稲作初心者に分かりやすく多くのジオラマや説明が配置されている。
・内容は山居倉庫の歴史、古代からの稲作伝播、米の種類、庄内米の歴史、庄内地方の風土、庄内米の品種、品種改良史、保管と流通の実際、「俵をかついでみよう!」、米のおいしさと栄養、米作りの一年、米作農家の実物大ジオラマなど。
・展示室要員なし。解説ツアーなし。撮影可。
・山形での品種を中心に、流通の始まった最新銘柄「つや姫」などについても紹介している。
・稲作文化の初歩と庄内米の伝統を学ぶには十分。
庄内米館内俵
左の模型女性が背負っている米俵5俵は300kg。倉庫でこうして運ぶのは女性の仕事だったという。
右に1983年山形を舞台にしたNHKドラマ『おしん』のポスター。
おしんが奉公したのはこの酒田市だった。



庄内米地形図と記入


■山形県のお米ブランド

いま最も評判の高いお米と言えば新潟県の農業試験場が開発した魚沼コシヒカリであると、多くの人が認めるだろう。しかし購入者の立場からはブランド化してしまって高価なために敷居が高い。

庄内米歴史資料館を訪問した筆者は平成4年から生産されている「はえぬき」という品種を知って以来、これを求めるようになった。なぜなら平均的な価格でありながら、「食味評価」(後述)は魚沼コシヒカリと同様の「特A」認定を毎年受けるほど美味しく、コストパフォーマンスが最高だからだ。
庄内米はえぬきぱっく
愛知県のスーパーで販売されていたはえぬき

ただ「はえぬき」はどうやら山形県以外では余り生産されていないらしく、愛知の店では不定期にしか入らないし、西日本では見ることも希である。どうやら「はえぬき」は県内生産にこだわった結果知名度が上がらず、価格も低くなってしまったのだという。

そこで捲土重来、山形県は平成10年、新しいブランドをまたも開発し、今度は県外にも広く生産してもらい名称を流布させる戦略を採ることとなった。これが「つや姫」である。
庄内米つや姫パッケージ2
平成22年本格生産を始めたというからまだ3年に過ぎないが、おそらくもう全国の米売り場に並んでいるのではないか。山形県は営業活動に力を入れ、希望する土地にはどんどん「つや姫」を売り込んでいった。希少価値が減退するので、本家・県内産のものだけは「山形産つや姫」というブランドを育てるため、生産体制を厳しく査定し、合格した県内生産者だけにこの名称を使わせるようにしているという。「特別栽培米」という低農薬・安全を売り物にしたブランド米が各地にあるが、山形県産のつや姫はすべて特別栽培米である。

これから山形産が特に成功するかどうかは未知数だが、現在の販売価格で「つや姫」は10kg4800円ほどと、魚沼コシヒカリより安く、標準ブレンド米より幾分高いところにある。山形県の思惑はまずまず成果を挙げていると言えそうだ。

庄内米館内稲各種
品種改良の歴史を語る稲の展示

◇補足・食味ランキングとは

米の出来について、日本穀物検定協会が毎年全国の主な品種を審査し、前年の品種について「特A」「A」「B」「B’」の4段階を毎年2月に公表する。客観的な審査として一定の信頼性が認められている。
11年産米では129銘柄を審査して26銘柄が特Aとされた。
2013年2月14日に発表された12年産米では128銘柄を審査して29銘柄が特Aとされた。
「魚沼コシヒカリ」と「はえぬき」はずっと特A評価を続け、最新の「つや姫」も2008年参考品種としての登場からずっと特Aである。


■新潟と山形の風土

庄内米月山から

新潟県の中で魚沼コシヒカリが評価されるのと、東北地方で庄内米が優良であるのとは同じ理由に因るようだ。
それは豊富な残雪による雪解け水と日照時間、昼夜の温度差である。水は温度の低い方が微生物の繁殖が抑えられるため、徐々に暖まってゆく下流より上流の山岳に近い場所が有利となる。新潟県で広い平野部よりも山に迫る魚沼地方が好適なのはこれによる。

そして残雪を蓄えるためには冬に日本海を渡る季節風が強いことと、高い山岳の存在が重要となる。新潟では越後山脈、魚沼丘陵、庄内では鳥海山と月山という2000m級の山が聳え高所では10m近い積雪となる。残雪が豊富な土地では日照りに左右されず、夏までの雪解け水と地中を潜る伏流水によって安定給水が続く。

国内で似たような風土となる場所を探すと、富山平野、金沢平野、福井平野、津軽平野などが思い当たる。詳細に調べていないが、平坦な地形の広さ、日照時間といった色々な要素が関係しているのではなかろうか。
むろん、それら自然条件だけでなく、庄内や新潟では明治以来の関係者の努力こそ品質向上の原動力だったようだ。

■稲作文化の歴史

庄内米菜畑遺跡
[佐賀県菜畑(なばたけ)遺跡] 国内最古(2600年前)の水田が発見された場所
 
この庄内米歴史資料館を訪問した理由は美食願望よりも古代史の観点から稲作に関心があったからである。

弥生時代から古墳時代のハナシをしてみる。

古代の倭国(日本)では、近畿地方を中心に西日本一帯がほぼ統一された3~4世紀ころ、紀元前の弥生時代から継続していた鉄の輸入が急増していった。朝鮮半島南部で海に面する「伽耶(かや)」という土地で鉄を豊富に産出し、倭を含む多くのクニが持ち帰ったと、中国の史書にある。どの国家でも鉄を多量に使うことは国力を充実させる絶対条件だった。
(注:鉄の用途が武器だとイメージするのは間違いで、第一は農耕具、第二が武器だった)

ところでこの時点で、もし倭国が半島を支配していたなら鉄資源を「収奪」し、他国には取らせないはずなのだが、そんな形跡はない。とすれば入手方法は「交易」のはずだ。
では鉄と何を交換したのか。それがコメであったと筆者は確信している。

コメは証拠を残さないため、このことは学者の間でいまだ定説とは言えない。しかし他に交換できる物品は見当たらない。
鉄を求めた多くのクニの中で倭国が大量に入手できたほど、相手には価値のあった交換品、それがコメではなかったか。

コメなら朝鮮半島でも生産しただろうと思うかもしれないが、ここに日本で稲作文化の発展した鍵が隠れている。半島は稲作に不利なのだ。
その理由は朝鮮半島では地形的に水田に適する低湿地が少なく、また平均気温が低いためで、当時の稲作は低調だった。
そのため倭国産のコメは歓迎され、また倭国は低湿地を利用して稲作に励み、入手した鉄で農耕具を作り、土木工事を行ってまた大量にコメを生産し輸出した。

4世紀、奈良盆地や河内平野に築かれた大型古墳の濠は潅漑用の溜め池を兼ね、墳丘の高まりは土地改造で余った土砂の積み上げで造られたものだと、筆者は見ている。もともと河内平野は河内湖という広大な湖だったのを古代人が干拓した土地である。古代の日本は米作りで国を発展させていったと言って良いのではなかろうか。


■「はえぬき」の味

筆者は2年前に庄内を訪れて「はえぬき」を知って以来、愛知でもできるだけこれを求めるようになった。生産量の制約であろう、数軒回っても見つからないこともある。

それほど違いがあるのかと問われれば、はっきり違うと言える。名前を伏せて無名米と食べ比べてみれば、10人中10人とも分かるはずである。筆者宅では特別な自然水を使いガス釜で焚くというこだわり方だが、一般的な水道水と電気釜でも、違いは出るはずである。

「はえぬき」は粒が大きく粘りがあり、ほんのりとした甘みが感じられる。そして炊きあがりすぐでなくとも冷えたままでも味が落ちないのが、他品種にない特徴とされる。

滅多に高級外食の機会はないのだが、味を気にするようになった2年前以後、「はえぬき」に匹敵する美味しいご飯を食べたのは、一人5000円のコースを頼んだ一回しかない。この時のブランドは不明。ほかの外食店、弁当などの味はいずれも及ばない。

「つや姫」「魚沼コシヒカリ」は高価なためいまだに試してなく、更に美味しいのかどうか分からないが、価格面を考えれば「はえぬき」で十分な幸福感を得られている。

ひとつ心配なのは、山形県の戦略商品でもある「つや姫」が増えてくれば利幅の少ない「はえぬき」が消えてしまうのではないかということだ。美味しいコメが全部高価になってしまうのは困る。
もうひとつ、このブログは少数の読者しかいないと思って書いているが、万一「はえぬき」が急に大人気になって私が買えなくなるのも困る。
ゆえに大きな声では言いたくないが、価格と味を考えれば「はえぬき」は最高のお奨め品種である。

(注:よくブログにありがちな、商品の使用レポート形式を装って購入を誘い収益を得るという意図はありません。この小稿は筆者の日本文化・稲作文化への誇りと愛情だけで作製しています)


■偽装米に注意

2012年12月、旅行先の岡山で耳にしたラジオ放送で、岡山県内の業者が魚沼コシヒカリの偽物を販売した容疑で逮捕されたというニュースが流れていた。
業者は無名のブレンド米を魚沼コシヒカリの袋に入れて販売し、以前より美味しくないという購入者からの通報で発覚したという。

このニュースはローカル放送のため、岡山県以外には伝わっていないらしかった。察するに同様の事件は知られていなくとも多数あるのではないか。そしてその陰には発覚しない偽装米が相当量出回っていると推定できる。

あるジャーナリストの書いた本によれば、生産されている2~3倍の量が魚沼コシヒカリとして販売されているという。本物より多量の偽物が流通しているということだ。

岡山の事件で偽物に気付いたのは舌の肥えた人だろう。しかし、その人でももし本物を半分混ぜた「半偽物」だったら分かっただろうか。ばれたくなければ完全に入れ替えるのでなく、いくらか真性も混ぜておけば、利益が減る替わりにリスクも小さくできる。

技術的にはDNA鑑定によって偽装を見抜けるはずだが、実際には検査に時間を要したりして相当なコストがかかる。偽装米の存在は長くささやかれ、昨年の事件からすると今でも出回っているらしい。買うときには気をつけたいが、私たちには見分けるすべがない。安心して購入できる有効な防止策がないものだろうか。


■補足・2012年の値上がり

2012年の夏前から、米の小売価格が急上昇している。新米が出回る前からのことで、10月からの新米はさらに上がり、一年前に普及価格帯で10kg3300円くらいだったものが約4000円と、2~3割高くなった。

11月26日読売新聞の記事によれば、その原因は北海道などで優良なブランド米が増えたことが第一で、背景に民主党政権が導入した農家の戸別所得保障制度があるという。減反に応じる農家に交付金が支給されるため、米の作付け面積は減少し無名ブランド米の生産が減り、相対的にもともと高いブランド米の比率が上がったという。
また同記事では米を集荷する農業団体である全農の前渡し金戦略が作用したことも示唆しつつ、詳細は不明だとしている。

ここに書かれた値上がり理由はどうも分からない。ブランド米の比率が高くなった程度で、これほどの全体値上がりは起きないはずだ。小さな上昇傾向に目を付けた投機の影響なのだろうか?いずれにしろ、少量生産でも一定の収益を確保したい農家の思惑もあっての価格高ブレ現象のようだ。
国内の米需要は長期的にゆっくりと下降線をたどっている。もし値上がりが定着してしまえば下降の傾きがもっと強くなるだろう。

茶碗一杯のご飯を食べる時、米の値段は約30円というのが昨年までの計算だった。値上がりによって40円になった。カロリーは200kcal。同じカロリーを食パンで摂ると1斤の三分の一として40円ほど。パンはそのまま食べられるが、米は燃料・水・手間・時間、それに炊飯器が必要なので割高になる。どっちを選ぶか?
一般の米離れが進んでしまわないか、心配である。


■コメを輸出戦略商品に育てよう!

選挙のたびに声の上がる景気対策および日本経済の復興のためには、他国に真似のできない輸出品を作って外国にどんどん売ればよい。これが古代から変わらぬ、もっとも確実で正当な、国が豊かになる方法である。
コメはそれができると、本気で思っている。

日本産米の強みとして、日本のコメは世界で一番美味しいこと、気候風土が違うのでたとえ遺伝子を盗まれても外国では同じ品質を生産できないことがある。

また海外の購入者は富裕層を想定できるので、安くしなくても十分販売できるだろう。
ただし国内向けの値上がりを防ぐ措置は必要。国民の栄養源として最重要の食糧であることを考慮し、消費税は特別扱いしてほしい。

当然、減反政策はやめる。輸出が増えれば生産拡大のため、土地が必要となって遊休地は活用され、就業者も増えるだろう。若者が参入しやすい環境を整備すれば、地方の過疎対策・雇用対策にもなる。

コメ生産・消費を優遇することは他にも国土景観の保全、健康な食生活にメリットが大きい。コメ文化を見直し、日々積極的に食べることは将来世代のためにも大きな意義があると考えている。
私たちは先人の努力に感謝し、稲作文化を誇り、これからも米食を大切にしていきたいものだ。

■最新訪問時期:2012年10月





スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。